過去の小説を載せていきつつ、新たに小説も書いていきたいと思っています。更新ペースはきまぐれです。
ジャンルは恋愛、青春。日常に非現実的なことがちょっと起こったりとかが大好きです。
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屋上のドアを勢いよく開けると、そこにはやはり見慣れた姿があった。
4月の肌寒い夜空の下、彼はマフラーを靡かせながら屋上の隅に佇んでいた。
見覚えのあるマフラー。
・・・彼女が郁夫だった時、その郁夫がいつも身に着けていたものだ。
郁夫は照れると、口元をマフラーで隠し、頬を赤らめる。
そんな彼特有のしぐさを思い出すと、胸のあたりがきゅっと締め付けられるような
淡い痛みを感じた。・・・切なくも甘い、幸福な痛みである。
しかし今は、現実に目を向けなければならない。
「瑞穂・・・さん」
律子は意を決し、彼女の名を呼ぶ。
途端、目の前の見えていた郁夫の姿が一瞬にして瑞穂に変化したかのように見えた。
そうして、彼女は静かに振り返った。
息の上がった律子とは対象的に、彼女は恐ろしいくらい落ち着た様子だった。
「律子ちゃん。こんな時間にどうしたの? ここへは来られないはずだけど。」
彼女の口調には抑揚がなく、それでいて尖っているようにも感じられ、
暗に「帰れ。」とでも言っているようだった。
律子の胸はたったそれだけのことで怯みそうになる。
しかしここで負けてはならないと今一度歯を食いしばり、真っすぐに瑞穂の目を見つめ返した。
「もう私が何を言いたいのかは分かっていると思います。
だから、単刀直入に聞きます。スクラップ帳に貼ってあったあの事件のこと、
私に教えて下さい。・・・お願します。」
もしかしたら、またパニックを起こすかもしれない。一か八かだった。
しかし意外にも彼女は取り乱すことなく、夜風にマフラーを靡かせながら落ち着いた様子で空を仰いだ。
「私は・・・最低。死ぬのは痛いこと? 全てを失った私。寂しい、けれども、私には何もない・・・。」
まるで呪文を唱えるかのように、一つ一つの言葉を放っていく。
しかし、それらの言葉に何の意味があるのか、事件と何の因果関係があるのかは分からない。
「・・・もう、私には失うものなんてない。それに、私は何も持ってない・・・。もう、必要無い。どうせ今全てを終わらせられるのなら、吐き出してしまってからの方が良いのかもしれないわね。」
「おわ・・・らせる?」
怪訝な表情の律子に応答することなく、瑞穂は淡々とした様子で続けた。
「律子さんの目的は、初めから今までずっと私の中に眠る郁夫だってこと、・・分かってる。
だけど、私もなかなか心の整理がつかなくて。あなたや過去と向き合うことができずにいた。
・・・本当にごめんね。」
―目的が郁夫であるということ。
彼女の口から改めてそう言われてしまうと、罪悪感に苛まれる。
律子は胸を抑え、耐えきれず彼女から目線を外した。
「それにまさか、律子ちゃんが恵理子の妹だっただなんて。本当、一体どういう巡りあわせなのかしら。」
自嘲気味に笑う瑞穂に対し律子は口を開きかけるが、結局それは言葉にならない。
「・・・でも、こんなことがあったから、漸く私自身と向き合うための方法を考えることができたの。そして、その答えが出た。こんな自分を終わらせることが許されるのなら、最後に向き合っても良いのかなって。」
「待ってください! 終わらせるって・・・」
再び問うも瑞穂は答えず、更に続けた。
「・・・それに。それにね、」
一つずつ、息を吸い、吐くように言う。
「彼の好きだった彼女の妹になら、そして、その妹が郁夫のことを好きでいるのならば・・・、尚更。」
廻りくどく嫌な言い廻しだ。
おわらせるって何を?
真実は一体何なのか。・・・聞いておきながらも聞くのが少し怖い。
そして、彼の好きだった彼女とは?
『彼』の『好き』だった『彼女』?
瑞穂から紡がれる言葉の数々に翻弄され、律子の頭の中は錯綜していた。
「彼の好きだった、彼女・・・?」
彼の好きだった彼女。彼は郁夫? 彼女とは、この場合、もしかして姉のこと?
彼の好きだった彼女とはつまり、郁夫の好きだった恵理子?
まさか、郁夫が姉のことを?
「ははっ、まさか」
否定を求め、瑞穂に笑いかける。
瑞穂は微笑み返す。しかし、その直後に表情を歪め、涙を浮かべた。
「そ、そうだったんですか・・・。」
漠然としたもやもやが生まれる。
こんな折に全く可笑しな思想だが、いない姉に対する羨ましさなのか、敗北感と、悲しみと。
そして、一体何がこんな悲劇を生んでしまったのか・・・
何が何だか、もう訳が分からない・・・!
「あぁあぁあ!」
耐えきれず頭を抱え、嗚咽を漏らす。
そんな律子の姿を、瑞穂はただ静かに見つめていた。
律子は心を落ち着けるために再び胸に手を当て、深呼吸をすると
「大丈夫です・・・。話して下さい、お願いします。」
真っすぐに瑞穂を見つめ返し、彼女の言葉を待った。
風に靡かれながら数分の沈黙の後、瑞穂はゆっくりと口を開いた。
「今から4年か5年くらい前だったかな、私と郁夫は、同じ専門学校に入学したの。
律子ちゃんももう知っている。あの、アルバムに載っていたーー」
ーーーある年の春のこと。
瑞穂と郁夫は大学を卒業後、3年制の美術専門学校に入学した。
彼らは長い付き合いだ。小学校から、専門学校の専攻までずっと同じなのだから。
・・・とは言うものの、恋人同士というわけでもなく、その関係は『腐れ縁』と言い表すのが
最も適していたのだろうか。・・・郁夫に言わせてみれば『家族同様』らしいのだが。
郁夫が瑞穂に対して恋愛感情を抱いておらず、今後抱く可能性が限りなく0に近いことは
明らかだった。
・・・郁夫は恐らく、瑞穂の気持ちに気づいている。
それでも傍にいて彼に拒まれるということはなく、むしと郁夫の方から何かと誘ってきてくれる。「一緒にいると安心する」とさえ言ってくれる。
まぁそれも、恋人だとかそういう意味ではなく、『家族として』なのだろうが。分かっている。
全く残酷な話だ。
普通の人なら、人の気持ちを弄ぶな! と縁を切ってしまうだろう。
しかし、彼は純粋だ。きっと、悪気はない。だから尚更恐ろしいのだが・・・
それでも彼の傍にいられるのならと思ってしまう情けない自分に負けてしまうのは事実だった。
・・・こんなだから、瑞穂はこれまで自分の気持ちを彼に一度たりとも伝えたことは無く、
伝えようと思ったことも無い。
相手が既に気づいていようとも、伝えてしまえば、・・・それでこの関係が終わってしまうような気がしたからだ。
瑞穂はそんな曖昧な関係に甘え、この状況を変えることもできずにだらだらと
10年近くは過ごしてきていたのだった。
ーーーそんな曖昧な関係を更に続けること2年。
瑞穂と郁夫は最終学年を迎えた。
きっと、今年もこの関係が続いて行くのだろう。
郁夫といつもの通学路を歩き、・・・瑞穂はぼんやりとそんなことを考えていた。
そして門をくぐり、変わり映えのない日常を迎えるかと思った時だった。
普段は静かな学内が、何やらわざわと騒がしい。
周囲の声を聞いてみると、何やら「凄い新入生が来た」と話題になっているようだった。
毎年この学校では、新入生が入学試験の際に提出した作品のなかで優秀作品として
選ばれたものが一定期間展示される。
どうやらその作品が秀逸なのだと、学内の生徒たちが口々に言っているようだった。
瑞穂はと言うと、その作品と生徒に対し全く興味を抱いていなかったのだが、
「へぇー。凄い新入生か。どんな作品なんだろう。ねぇ、見に行ってみない?」
という郁夫の言葉に促され、
「うん? いいよ。どんな作品なんだろうね。」
と、何の気なしに見に行ってみることにしたのだった。
展示室の中に入ると、新入生の優秀作品が学科ごとに並べられ、展示されていた。
その中の一つの作品にだけ、人だかりができている。
・・・どうやらその凄い子というのは、瑞穂や郁夫と同じ専攻の生徒のようだった。
「へぇー、同じ学科なんだ。ちょっと、人が多すぎてよく見えないな。」
明らかに興味を示す郁夫。
「うん。」と、瑞穂は複雑な気持ちで生返事をした。
時間が経つごとに、人だかりが履けていく。
そして、次第にその優秀作品とやらが姿を現してきた。
姿を見せようとする作品にくぎ付けの郁夫とは対象的に、周囲の人達の様子ばかり
無意識に目で追う瑞穂。
そんなぼんやりとした視線を、何となく正面に戻した時だった。
「---あ。」
ピンクと白、色鮮やかなつつじの花。
そこから一人の少女が両手を大きく広げ、望むパノラマの風景。
このつつじは、恐らくこの近隣にあるつつじの名所のものだ。
瑞穂や、この学校に来る多くの生徒にとっては、見慣れた風景に過ぎないだろう。
たった一枚のそれだけの絵だ。
・・・だと言うのに、何故だろうか。胸がじんわりとする。
この絵は、まるで生きているかのようだった。
この感覚を、なんと口にすれば良いのかわからないが、何かを口にしたい。
そう思っていると、
「――すごい。」
一足先に、発しようと思った言葉を郁夫が口にした。
真剣な表情でその一言を発した後、郁夫の表情がぱぁーっと明るくなって行く。
「すごい!!」
そうして、再び口にする。
瑞穂はここで直感した。
郁夫は、この絵と、まだ見ぬ生徒に恋をしてしまったのだと。
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4月の肌寒い夜空の下、彼はマフラーを靡かせながら屋上の隅に佇んでいた。
見覚えのあるマフラー。
・・・彼女が郁夫だった時、その郁夫がいつも身に着けていたものだ。
郁夫は照れると、口元をマフラーで隠し、頬を赤らめる。
そんな彼特有のしぐさを思い出すと、胸のあたりがきゅっと締め付けられるような
淡い痛みを感じた。・・・切なくも甘い、幸福な痛みである。
しかし今は、現実に目を向けなければならない。
「瑞穂・・・さん」
律子は意を決し、彼女の名を呼ぶ。
途端、目の前の見えていた郁夫の姿が一瞬にして瑞穂に変化したかのように見えた。
そうして、彼女は静かに振り返った。
息の上がった律子とは対象的に、彼女は恐ろしいくらい落ち着た様子だった。
「律子ちゃん。こんな時間にどうしたの? ここへは来られないはずだけど。」
彼女の口調には抑揚がなく、それでいて尖っているようにも感じられ、
暗に「帰れ。」とでも言っているようだった。
律子の胸はたったそれだけのことで怯みそうになる。
しかしここで負けてはならないと今一度歯を食いしばり、真っすぐに瑞穂の目を見つめ返した。
「もう私が何を言いたいのかは分かっていると思います。
だから、単刀直入に聞きます。スクラップ帳に貼ってあったあの事件のこと、
私に教えて下さい。・・・お願します。」
もしかしたら、またパニックを起こすかもしれない。一か八かだった。
しかし意外にも彼女は取り乱すことなく、夜風にマフラーを靡かせながら落ち着いた様子で空を仰いだ。
「私は・・・最低。死ぬのは痛いこと? 全てを失った私。寂しい、けれども、私には何もない・・・。」
まるで呪文を唱えるかのように、一つ一つの言葉を放っていく。
しかし、それらの言葉に何の意味があるのか、事件と何の因果関係があるのかは分からない。
「・・・もう、私には失うものなんてない。それに、私は何も持ってない・・・。もう、必要無い。どうせ今全てを終わらせられるのなら、吐き出してしまってからの方が良いのかもしれないわね。」
「おわ・・・らせる?」
怪訝な表情の律子に応答することなく、瑞穂は淡々とした様子で続けた。
「律子さんの目的は、初めから今までずっと私の中に眠る郁夫だってこと、・・分かってる。
だけど、私もなかなか心の整理がつかなくて。あなたや過去と向き合うことができずにいた。
・・・本当にごめんね。」
―目的が郁夫であるということ。
彼女の口から改めてそう言われてしまうと、罪悪感に苛まれる。
律子は胸を抑え、耐えきれず彼女から目線を外した。
「それにまさか、律子ちゃんが恵理子の妹だっただなんて。本当、一体どういう巡りあわせなのかしら。」
自嘲気味に笑う瑞穂に対し律子は口を開きかけるが、結局それは言葉にならない。
「・・・でも、こんなことがあったから、漸く私自身と向き合うための方法を考えることができたの。そして、その答えが出た。こんな自分を終わらせることが許されるのなら、最後に向き合っても良いのかなって。」
「待ってください! 終わらせるって・・・」
再び問うも瑞穂は答えず、更に続けた。
「・・・それに。それにね、」
一つずつ、息を吸い、吐くように言う。
「彼の好きだった彼女の妹になら、そして、その妹が郁夫のことを好きでいるのならば・・・、尚更。」
廻りくどく嫌な言い廻しだ。
おわらせるって何を?
真実は一体何なのか。・・・聞いておきながらも聞くのが少し怖い。
そして、彼の好きだった彼女とは?
『彼』の『好き』だった『彼女』?
瑞穂から紡がれる言葉の数々に翻弄され、律子の頭の中は錯綜していた。
「彼の好きだった、彼女・・・?」
彼の好きだった彼女。彼は郁夫? 彼女とは、この場合、もしかして姉のこと?
彼の好きだった彼女とはつまり、郁夫の好きだった恵理子?
まさか、郁夫が姉のことを?
「ははっ、まさか」
否定を求め、瑞穂に笑いかける。
瑞穂は微笑み返す。しかし、その直後に表情を歪め、涙を浮かべた。
「そ、そうだったんですか・・・。」
漠然としたもやもやが生まれる。
こんな折に全く可笑しな思想だが、いない姉に対する羨ましさなのか、敗北感と、悲しみと。
そして、一体何がこんな悲劇を生んでしまったのか・・・
何が何だか、もう訳が分からない・・・!
「あぁあぁあ!」
耐えきれず頭を抱え、嗚咽を漏らす。
そんな律子の姿を、瑞穂はただ静かに見つめていた。
律子は心を落ち着けるために再び胸に手を当て、深呼吸をすると
「大丈夫です・・・。話して下さい、お願いします。」
真っすぐに瑞穂を見つめ返し、彼女の言葉を待った。
風に靡かれながら数分の沈黙の後、瑞穂はゆっくりと口を開いた。
「今から4年か5年くらい前だったかな、私と郁夫は、同じ専門学校に入学したの。
律子ちゃんももう知っている。あの、アルバムに載っていたーー」
ーーーある年の春のこと。
瑞穂と郁夫は大学を卒業後、3年制の美術専門学校に入学した。
彼らは長い付き合いだ。小学校から、専門学校の専攻までずっと同じなのだから。
・・・とは言うものの、恋人同士というわけでもなく、その関係は『腐れ縁』と言い表すのが
最も適していたのだろうか。・・・郁夫に言わせてみれば『家族同様』らしいのだが。
郁夫が瑞穂に対して恋愛感情を抱いておらず、今後抱く可能性が限りなく0に近いことは
明らかだった。
・・・郁夫は恐らく、瑞穂の気持ちに気づいている。
それでも傍にいて彼に拒まれるということはなく、むしと郁夫の方から何かと誘ってきてくれる。「一緒にいると安心する」とさえ言ってくれる。
まぁそれも、恋人だとかそういう意味ではなく、『家族として』なのだろうが。分かっている。
全く残酷な話だ。
普通の人なら、人の気持ちを弄ぶな! と縁を切ってしまうだろう。
しかし、彼は純粋だ。きっと、悪気はない。だから尚更恐ろしいのだが・・・
それでも彼の傍にいられるのならと思ってしまう情けない自分に負けてしまうのは事実だった。
・・・こんなだから、瑞穂はこれまで自分の気持ちを彼に一度たりとも伝えたことは無く、
伝えようと思ったことも無い。
相手が既に気づいていようとも、伝えてしまえば、・・・それでこの関係が終わってしまうような気がしたからだ。
瑞穂はそんな曖昧な関係に甘え、この状況を変えることもできずにだらだらと
10年近くは過ごしてきていたのだった。
ーーーそんな曖昧な関係を更に続けること2年。
瑞穂と郁夫は最終学年を迎えた。
きっと、今年もこの関係が続いて行くのだろう。
郁夫といつもの通学路を歩き、・・・瑞穂はぼんやりとそんなことを考えていた。
そして門をくぐり、変わり映えのない日常を迎えるかと思った時だった。
普段は静かな学内が、何やらわざわと騒がしい。
周囲の声を聞いてみると、何やら「凄い新入生が来た」と話題になっているようだった。
毎年この学校では、新入生が入学試験の際に提出した作品のなかで優秀作品として
選ばれたものが一定期間展示される。
どうやらその作品が秀逸なのだと、学内の生徒たちが口々に言っているようだった。
瑞穂はと言うと、その作品と生徒に対し全く興味を抱いていなかったのだが、
「へぇー。凄い新入生か。どんな作品なんだろう。ねぇ、見に行ってみない?」
という郁夫の言葉に促され、
「うん? いいよ。どんな作品なんだろうね。」
と、何の気なしに見に行ってみることにしたのだった。
展示室の中に入ると、新入生の優秀作品が学科ごとに並べられ、展示されていた。
その中の一つの作品にだけ、人だかりができている。
・・・どうやらその凄い子というのは、瑞穂や郁夫と同じ専攻の生徒のようだった。
「へぇー、同じ学科なんだ。ちょっと、人が多すぎてよく見えないな。」
明らかに興味を示す郁夫。
「うん。」と、瑞穂は複雑な気持ちで生返事をした。
時間が経つごとに、人だかりが履けていく。
そして、次第にその優秀作品とやらが姿を現してきた。
姿を見せようとする作品にくぎ付けの郁夫とは対象的に、周囲の人達の様子ばかり
無意識に目で追う瑞穂。
そんなぼんやりとした視線を、何となく正面に戻した時だった。
「---あ。」
ピンクと白、色鮮やかなつつじの花。
そこから一人の少女が両手を大きく広げ、望むパノラマの風景。
このつつじは、恐らくこの近隣にあるつつじの名所のものだ。
瑞穂や、この学校に来る多くの生徒にとっては、見慣れた風景に過ぎないだろう。
たった一枚のそれだけの絵だ。
・・・だと言うのに、何故だろうか。胸がじんわりとする。
この絵は、まるで生きているかのようだった。
この感覚を、なんと口にすれば良いのかわからないが、何かを口にしたい。
そう思っていると、
「――すごい。」
一足先に、発しようと思った言葉を郁夫が口にした。
真剣な表情でその一言を発した後、郁夫の表情がぱぁーっと明るくなって行く。
「すごい!!」
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プロフィール
HN:
Remi
性別:
女性
自己紹介:
好きな音楽→ELECTROCUTICA、西島尊大、LEMM、ジャズ
過去に小説を書いていたので載せています。
最近また小説を書きたくなったので書いていますが、
書けなくて悪戦苦闘しています。
過去に小説を書いていたので載せています。
最近また小説を書きたくなったので書いていますが、
書けなくて悪戦苦闘しています。
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